「ようやく、ようやくです。
あのおそろしい魔王は討ち倒され、長きにわたる戦いは終わりを告げました。
こうして、ふたたび平穏が訪れたのです──」
少年は、父が残した偉大な英雄譚を語る。
「張りつめた空気…肉の感触…熱く迸る鮮血…
相手が強いほど、痛みが激しいほど…
魂は躍り、身体は歓喜に打ち震えるのです…!」
青年は、新たな戦いの予感に興奮を覚える。
天界と魔界、果てしなく繰り返される争い。
短い平穏はまたしても破られようとしていた──
↑